科学・政策と社会ニュースクリップ

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科学技術政策公開質問状、日本共産党からの回答

問1 改正労働契約法について

b. 労働契約法を再改正すべきである

◆労働契約法改定にともなう混乱への当面の対策
 昨年改定された労働契約法の実施に関して、大学における有期雇用の実態と法改定の影響について国による調査を求めてまいります。有期雇用の大学教職員、研究者、非常勤講師に契約更新5年上限を予め求めることは法改定の趣旨に反する行為であり、やめさせます。有期契約が1回以上反復されて5年経過した雇用を無期契約に転換した場合に、国が大学に対して財政支援する奨励制度をつくります。大学や研究機関が期限のある国の資金でプロジェクト研究を行う場合に、その資金で有期雇用される研究者や職員を期限終了後も雇用するための財源を国が責任をもつべきです。
◆労働契約法の再改定について
 「働く人が安心して働き続けることができる社会を実現する」という法改定の趣旨に反して、「雇止め」の動きがおきるのは、改定労働契約法が有期労働を臨時的・一時的業務に限定するといういわゆる「入口規制」がないためです。また、脱法的な「雇止め」を防止する規定がないことも問題です。こうした法改定を求めてまいります。
◆無限定な有期雇用の導入はやめるべき
 そもそも、大学教職員への無限定な有期雇用の導入は、教育研究や支援業務の健全な発展を妨げています。実際に、全員任期制を導入した大学では、優秀な研究者が流出し、大学の社会的な評価が急落し、見直しを余儀なくされています。国による誘導策をやめさせ、導入に歯止めをかけます。大学教員、研究員の任期制は任期制法の廃止を含めた見直しを行い、大学においては正規雇用を基本にすべきです。

問2 大学院博士号取得者の数について

e.その他(具体的に)

理由 本来、社会の発展にともなって、大学院博士号取得者数は増やしていくべきです。しかし、残念ながら、博士号取得者の増加にみあって、博士号取得者が活躍する場を確保できていないのが現状です。いわゆる高学歴難民、高学歴ワーキングプアが増え、研究者になる魅力がゆらぎ、博士課程進学者が減っています。私たちとしては、博士課程修了者の就職難の解決など、当面の問題を解決するために力をつくしたいと考えます。

問3 「日本版NIH(仮称)」構想について

d. 反対である

理由 安倍内閣の「日本再興戦略」がうちだした「日本版NIH」は、医療技術の実用化の為の研究開発を国が決める計画に従ってトップダウンで推進しようとするもので、生命科学などの基礎研究を支援する資金配分団体である米国のNIHとも異なります。実用化の土台となる多様な基礎研究の発展を阻害する危険が強いため、その設立に反対します。大学や研究機関の基盤的経費の充実とあわせ、科研費のような専門家による審査で配分される資金を充実させるべきです。