科学・政策と社会ニュースクリップ

科学政策や科学コミュニケーション等の情報をクリップしていきます。

補正予算削減の行方

総選挙後、最先端研究開発支援プログラムをめぐって論争が起きています。

★最先端研究開発支援:対象に山中教授ら 民主「凍結も」
http://mainichi.jp/select/science/news/20090905k0000m010114000c.html

最先端研究支援、民主が「凍結も」 政府は30人を選出
http://www.asahi.com/politics/update/0904/TKY200909040395.html

先端研究助成、京大教授らに総額2700億円
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090904-OYT1T00975.htm

明日発表の最先端研究開発支援プログラム、研究者の不満は「ヒアリングにも呼ばれなかった」「質疑応答がたったの10分間」
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?id=20065093

民主党の最先端研究開発支援プログラムの申し入れを評価―嘉山孝正国立大医学部長会議常置
委員
http://lohasmedical.jp/news/2009/09/02195857.php

「最先端研究開発支援プログラム」選定の見直し求め、申し入れ―民主党
http://lohasmedical.jp/news/2009/09/02192247.php

最先端研究開発支援プログラム「中心研究者及び研究課題」の決定について
http://www8.cao.go.jp/cstp/sentan/kekka.html

 科学技術政策がここまで政治と絡んで論じられたことはありませんでした。

 ここで、平成21年度の補正予算についておさらいしてみます。

財務省のページより
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/h21/hosei210427.htm

 補正予算は13兆9,256億円が使われるもので、2700億円はそのごく一部です。

文部科学省関連はこちら
http://www.mext.go.jp/a_menu/yosan/h21/yosanan/002.pdf

 文部科学省関連だけで1兆3,174億円使われる予定です。

 2700億円以外で、若手研究者が関係するのはこれなどです。

(3)留学生の受入れ促進、若手研究者等の海外への留学支援
473億円
・留学生宿舎の整備53億円
[財投103億円]
・大学生・高校生等の海外留学、外国人留学生の受入支援の拡充120億円
・若手研究者・大学院生等の海外派遣支援
(5年間1.5万人〜3万人)<独法に基金を設置> 300億円

 これに基づき、日本学術振興会は以下の募集をしました。

優秀若手研究者海外派遣事業の公募について
http://www.jsps.go.jp/j-wakatekojin/index.html

 影響を受ける若手研究者は

1. 常勤研究者(平成21年度:100から200名)
(平成22年度第1回:約100名)予定
2. 特別研究員(平成21年度:300から550名)

 また、これ以外にも「高度な専門的能力・知識をもつポスドクの産業界での積極的活用、企業研究者の活用による産学融合の実現」として17億円が使われます。

 2700億円に関しては、現場の研究者には異論があるようで、このような声も上がっています。
http://archive.mag2.com/0000116394/20090907060000000.html

これだけのお金があれば、昨今の若手研究者の問題やらポスドク問題が、大きく改善・解消できるのではないか。ビジョンをもって、未来の人材育成や将来への投資がなされなければ、一人に90億円つぎ込んだって、革新的発見なんて出て来ないし、ノーベル賞なんて決して出て来ないと思う。

 しかし、若手研究者の海外留学が見直されるのは大きな問題です。

 こうした状況に、ブロガーsivad氏が立ち上がりました。

学生やポスドクを政局の犠牲にしないよう民主党にロビイングしよう
http://d.hatena.ne.jp/sivad/20090903/p1

 より良い科学技術政策を作るために、他人任せではいけないと思います。

 時代は変わりました。黙っているだけではなく、今こそ積極的に、現場の研究者や市民が声を上げる時ではないかと思います。